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言葉の力

心理カウンセラーという仕事は、
とても不思議な仕事です。会話を聴くだけ?
そんなことで仕事になるの?と感じられる人も多いと思います。
でも実際には、会話の力にはとても大きな力があります。背景には、現代のほとんどの人が「コミュニケーションが苦手だと感じている」という現実があるのです。力のある会話というのは、話しているうちに何となくお互いが元気になり、物事が前に進む。そういった会話です。

例えば、仕事で「これやっておいてね」「わかりました」というような指示命令の言葉は、情報伝達のレベルであって、相手を元気にする会話ではありません。でもそこに、私たちが「ストローク」と呼んでいる「笑顔」や、「あたたかい温度の言葉」などがついてれば、非常に強い力づけになるのです。

言葉を伝えることには力があります。聴くことにも力があります。この「会話の力」を認識することで、もっとコミュニケーションがスムーズになり、仕事や人間関係や恋愛や家族関係がうまくいく、という事実があるのです。

心理カウンセリングは、「言葉の芸術」と言われます。
私は、正確にはカウンセリングは「会話の芸術」だと思っています。
心理カウンセリングの基本は、クライアントとカウンセラーの会話から始まります。もちろん会話といっても表面的な言葉だけを捉えるのではなくて、その人の感情や思考、価値観を感じながら言葉のやり取りをします。

私は心理カウンセリングを学んでから、いかにそれまでの自分が表層的な言葉だけしか聞いていなかったのか、ということを嫌というほど実感しました。言葉を聴くのではなくて、心を聴く。その心とは感情であり、思考であり、その人が生きてきた価値観であり、そこの中にはその人の人生そのものが表れている、そんな気がしているのです。

例えば、あなたは誰かと喧嘩をしたとき、怒りながら相手の人に「もういい、向こうへ行って」というような意味の言葉を投げかけたことはありませんか?あるとき、私は外国人の知人と喧嘩をし、怒って「もういいよ」と言い捨てました。するとその相手は不思議そうな顔で言いました。「『いい』って、日本語ではいい意味に聞こえるのに、あなたの表情は全然いいとは思えない。「もういいよ」という言葉の意味は何?それはあなたにとっていいことなの?それとも悪いことなの?」と。
そのとき私は、自分が発する言葉の意味とコミュニケーションの意味を、深く考えました。

「もういい」という言葉は、
「もうこのコミュニケーションはしたくない」
「この会話は止めたい」
「もうあなたは向こうへ行って」
という、コミュニケーションを絶とうとする表現です。
ただ自分にとっては納得しているわけでも、解決しているわけでもなく、コミュニケーションを断ち切ることによって、自分の怒りがこれ以上膨れ上がってしまわないように、悪い感情がさらにエスカレートしないように、とセーブしています。

その反面、コミュニケーションを絶つことによって、相手に譲歩を求めたり、「ごめんなさい」という言葉を求めたり、というような隠れた感情、も無意識の中にあったのかもしれません。

私たちが無意識に日常的に使っている言葉にも、いろんな意味合いがあるのですね。自分の人生を深く語り、問題を解決しようとするところに向かい合うカウンセリングの場であれば、なおさらです。人はカウンセリングに向かい合おうとするとき、その時点で自分自身と深く触れ合うことになるのです。

私のもとにさまざまな相談にやってくる来談者(クライアント)たち。
自分と向かい合うときにクライアントの方が話す言葉のひとつひとつは、どれも奥深く、まさにクライアントの話す言葉は芸術のように私の心に響いてくるのです。

心理カウンセリングには、そのような力があります。私が心理カウンセラーとしていつも心がけていることは、助けてあげようと思う気持ちでも、相手を可哀想と思う気持ちでもない。これらはカウンセリングにおいては無用のものです。
それよりも相手の言葉にしっかりと耳を傾け、実際には言葉になっていない思いをいかに汲み取るか、ということに全力を注ぎます。カウンセリングは会話の芸術、そしてクライアントの言葉の力を感じ、カウンセリングという技術を通して、自分自身の観点や分析や様々な専門的なスキルを駆使し、そこに自分の存在というものを立たせたとき、思いもよらないような大きな変化が生まれることがあります。

人間には誰でも自分の問題を解決し、前に進んでいく力がある。どんなに苦しくても絶望の淵に立たされても、人間にはその力がある。私は、カウンセリングの力を信じています。そして人のコミュニケーションや言葉の力を信じています。

かつては人間が嫌いで苦手で、それでメンタル不全になった私が、今なおその思いを抱えながらも、人間の力や言葉の力を信じられるようになる。まさにそれがカウンセリングを通して私が25年間で得た、ひとつの答えなのかもしれません。

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